




こうの史代さんの漫画『夕凪の街、桜の国』で知ってる方も多いかもしれません。
広島のデルタ地帯の中心部中区基町、旧太田川(本川)に沿うように相生通りがあり、原爆ドームの北側の河川敷一帯にバラックの連なる相生のまちはありました。
“被爆、国籍問題、貧困、衛生、健康や差別の問題など様々な問題を抱えながらも、たくましく優しく人々の気配あふれる暮らしの空間であった。”(おわりにより)
行政区では中区基町にあたり、「基町地区の改良なくして広島の戦後は終わらない」と10年にわたる再開発大事業ののち、住人は建設された基町高層アパートに移住するなどして、1978年に「原爆スラム」とも呼ばれてきたまちは姿を消します。
本著は、再開発事業開始直後の1970年に行われた実態調査と、移転完了後の1979年の追跡調査の膨大な資料を中心に、半世紀の時を経て、今日の視点を書き加えてまとめられた他にはない、かつてそこにあったまち、人々の暮らしの記録です。
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もくじ
序章
ひろしまに基町相生通り 通称「原爆スラム」と呼ばれるまちがあった
第1章
ひろしま基町がたどった歩み
第2章
相生通りとはどんな「まち」だったのか
第3章
まちをつくり上げた人たちの素顔と暮し
第4章
調査で出会った人たち
第5章
消滅するまち
第6章
相生通りの人たちにとっての基町再開発
終章
広島における現代都市としての試み
表紙:原爆スラム/基町相生通りにあった家々の間取り図・こうの史代「夕凪の街 桜の園」から一部転写
著者
石丸紀興、千葉桂司、矢野正和、山下和也
発行
あけび書房 2021年7月26日